ロナ
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<絵本や昔話のメッセージを紐解く⑥>
.~しろいうさぎとくろいうさぎ~
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作・絵/ガース・ウイリアムズ
訳/松岡 享子
発行所/福音館書店
<ストーリー>
広い野原に、ちいさな白いウサギと黒いウサギが住んでいた。二匹は、毎日一緒に楽しく遊んで暮らしていた。
ところが、黒いウサギは時々悲しそうな顔をしては、じっと座り込んでしまう。その様子を見て、白いウサギが「どうかしたの?」と尋ねても、黒いウサギは「うん、ぼく、ちょっと かんがえてたんだ」と答えるだけ。
とうとう、白いウサギは「なにを そんなに かんがえてるの?」と聞く。
黒いウサギは「ねがいごとを しているんだ」と答えた。
黒いウサギの願い。いつまでも白いウサギと一緒にいられるように。それを聞くと、白いウサギは「もっと一生懸命願ってごらんなさいよ」という。その言葉に、黒いウサギは、心を込めて「これから先、いつも 君と一緒にいられますように!」と声に出していった。
二匹のウサギは結婚して、一日中一緒に楽しく暮らした。それからというもの、黒いウサギは、けっして悲しそうな顔はしなかった。
ウサギのふわふわした感じがとても可愛らしい絵本です。
白と黒のコントラストが美しいのですが、それがとても象徴的でもあります。
黒いウサギは、未来に対して不安を感じているのです。朝、一緒に目覚め、片時も離れることなく遊び、一緒に食事をし、一緒に水を飲んでいるのに。もしかしたら、白いウサギと離れ離れになってしまうかもしれないと。
「愛」という感情のもとに、時に不安を感じてしまうのは、多くの人が経験していると思います。この黒いウサギの不安を、誰が笑うことができるでしょう。一緒に過ごす時間が楽しければ楽しいほど、この幸せがずっと続いて欲しいと願う。切ないまでの願いです。
白いウサギは対照的です。未来に対して何の不安も抱いていません。白いウサギが見つめているのは「今」です。今、黒いウサギと一緒に遊んだり、食事をしたり、水を飲んだりすることを楽しみ、喜んでいます。純粋に今の幸せを味わっています。そして、この幸せがこれからも続いていくことを疑いもしません。
黒いウサギはどうでしょう?今の幸せが続くかどうか疑っていますね。信じていないから、続いて欲しいと願っているのです。
「しろいうさぎとくろいうさぎ」を読むと、不安は自分が生み出していることに気がつきます。
この幸せが続くのだろうか?
ずっと一緒にいられるのだろうか?
・・・・
不安は、自分で手放すしかありません。
黒いウサギは、どうやってこの不安を手放したでしょう。
白いウサギに促されて、言葉にして伝えます。
「言葉にする」「文章に書く」ことはとても重要で、漠然とした思いをはっきりと意識することができるのです。つまり、自分の本心と向き合うことになり、不安を手放す大きな一歩となるのです。
黒いウサギの言葉を受けて、白いウサギはずっと一緒にいることを誓います。そして、黒いウサギはもう二度と、悲しい顔をしなくなりました。
ミルカさんが、個人セッションで「ニュートラル」や「調和」の重要性を教えてくれました。それは心の光と闇のバランスとともに、マインドとハートの調和でもあると感じました。
「愛」とは、本来とてもシンプルな感情だと思います。いろいろな理由や理屈を付け加えているのは、私たちのマインドです。
スピリチュアルな世界に身を置くと、現実離れしてしまうときもありますが、肉体を持って生きている意義、現実的な視点を無視しては「魂の成長」は望めません。逆に、社会常識や規則・ルールに縛られすぎて、自分が生まれてきた目的を見失うと、これもまた「魂の成長」を阻んでしまいます。
どちらかに偏った場合、必ずサインやメッセージが届きます。バランスを崩すことを恐れるのではなく、このようなサインやメッセージを受け取ったら、自分を客観的に見つめなおす。その素直な感性を持ちたいと思います。
記事ご提供:ロナの小部屋