松川サリー
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<日本人>その三
.「イルカさんが寄せる日本人への思い」~敗戦の後遺症~
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イルカ・パヴェルカ氏は、日本人がアイデンティティをなくしている、と、こちらのスピリチュアル・ルネサンスのHPにもメッセージを寄せています。
また、来日の際には、ワークショップやセミナー、講演でも、日本人のネガティブさについて、それでいいのですか?と問い掛けています。
先の記事でも書きました、思いを話さない日本人、自己を卑下している日本人のことです。
日本人は、自信をなくしている、自尊心を失っている、とイルカさんの心には映っているようです。侍魂はどこへ行ったのですか?柔の精神は?と。
江戸時代から明治維新、そして、昭和から平成へ。
戦前、敗戦、戦後、そして大きな経済的発展。
日本人から失われてしまったものは何でしょう。
アメリカの占領下にあったとき、日本人はどうだったのでしょう。
アメリカの意向を反映した憲法が作られ、教育制度もアメリカが決めました。辛うじて、皇室は残りましたが、宗教、と言いますか、信仰心、というものは取り上げられてしまった観があります。アメリカの占領下にあったとはいうものの、キリスト教の伝道は成功しなかったようです。
ヨーロッパの人たちから見ますなら、日本は、アメリカナイズされています。いえ、私たち、日本人自身も、そう思っています。
40年前、沖縄はまだアメリカでした。パスポートがなければ行けない場所でした。
アメリカによる、日本人への洗脳は見事だったと思います。
アメリカ軍の基地では、ジャズが流れ、日本人も憧れ、夢中になりました。FENを聞くのは、かっこよく見えました。アメリカ人の知り合いがいることは、自慢でした。
テレビでは、アメリカのテレビドラマがたくさん放送され、アメリカというのは、こんなに豊かな国なんだよ、ということを日本人に知らせていました。「奥様は魔女」などは、その典型です。大きな家と豊かな生活に憧れた大人たちは多かったことでしょう。日本もそのうちこうなるよ、と。
アメリカには、原子爆弾まで落とされました。
しかし、日本人のほとんどは、アメリカをものすごく悪くは思っていないでしょう。政治的には言いなりになっている、というネガティブな要素もあり、またアメリカは、発展した日本のジャパンマネーを操ろうともしていることでしょう。しかし、日本人にとって、アメリカが憧れの国であったことは事実です。アメリカに留学したい、ハリウッドデビューしたい、メジャーリーグへ行きたい、アメリカに住みたい、などなど。今でこそ、サッカー人気の上昇なども手伝って、本当のWORLDとは何か、ということが実感できていますが。
日本在住のある外国人がテレビ番組のなかで言いました。日本の女の子は、外国人をみんなアメリカ人だと思っている、と。
なぜ、日本は、アメリカを受け入れているのでしょう。植民地みたいなものだからでしょうか?アメリカの犬、だからですか?
いいえ。アメリカは、日本人にとって、救世主だったのです。
戦争中の日本は、限りなく陰湿で恐ろしかったのではないでしょうか。お国、軍人、役人はもとより、隣近所まで。みんな疑心暗鬼で、ずるく、意地悪で、心が荒んでいたことでしょう。もちろん優しい人もいたでしょうが、そういう心ある人に限っていなくなってしまったりするものです。生き残っていくためには、心が曇っていくことも致し方なかったのでしょう。戦争は、何もいいことがありません。
苦しくて苦しくてしかたがなかったとき、アメリカ軍がやってきて、戦争が終わりました。空襲は怖かったけれど、原爆投下はあまりにも人非人な行為だったけれど、人々は、何となく、解放された気分になったに違いありません。助かった、と。戦争に負けたことが信じられなくて、それこそお国に洗脳されていた人たちは、悔しい思いや信じられない思いもしたことでしょう。が、大多数の人たちが、戦争は嫌だったし、愛する人を失うことは悲しいし、自分の気持ちに嘘をついて生活することにうんざりしていたはずです。つまり、日本人は、日本の中枢部に苦しめられていたのですが、それをアメリカが解放してくれた、そのような形になったのです。そしてさらに、豊かなアメリカ人の生活を垣間見て、自分たちの陥っていた、否、強いられていた、貧しい生活を振り返ることになるのです。その象徴が、お菓子、チョコレートであり、ガムであり、キャンディだったのでしょう。あくまでも一般市民の話です。
日本は、しかし、その後、戦争の責任を取らされます。
そして、アジアの多くの国々が、日本が軍国化することを、今でも恐れています。それが政治的なパフォーマンスだったとしても、日本は、かつてそれらの国々の人々を非道に扱ったという事実は確かに残っているのです。
もしかしたら、必要以上に、日本は責任を負わされているかもしれません。
そして、何故か、日本という国は、多くの責任を引き受けるという立場に置かれてしまう、という状況を常に生み出してしまうようです。
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