なぜアメリカ人は、テロの脅威にパニックに陥るが、
日常に頻発する銃による死亡事件を無視するのか?
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なぜアメリカ人は、テロの脅威にパニックに陥るが、日常に頻発する銃による死亡事件を無視するのか?
マイケル・コーエン
賑やかな大都市であるボストンの金曜日が、その事件によってゴーストタウンとなっていました。学校は閉鎖され、通りは空っぽの状態でした。それはすべて、犯人である19歳の若者がまだ街をうろついていると言う、メディアが流した情報によって引き起こされた現象です。
しかし、IRAのテロから、長年苦しんだロンドン市民から見れば、アメリカ人はかなり過剰反応しているように見えるかも知れません。以前にアメリカで起きたいくつかの事件のように、集団的なパニック状態を引き起こしています。それは11年以上前に起きた9・11同時多発テロの”脅威”によって、人々が簡単に混乱し、パニック状態になることを彷彿させるものでした。
この、ボストンを集団的パニック状態にした事件が、丁度、銃の購入者の規制を強化する銃規制法案に対する議論を米国上院が阻止した日と同じ週に起きたのはやや皮肉な事です。この改革は、アメリカ国民の90%以上が支持し、そして56人から100人もの上院議員が賛成票を投じようとしている事実にも関わらず、共和党の少数派は”アメリカ国民の権利を制限”してはいけない理由で、それらの投票を阻止しました。
アメリカでは毎年30,000人が銃による事件で死亡しています。それに比べ、昨年、テロ事件で死亡したのは17人でした。
このようにアメリカ人が所有する銃による事件が、日常的に起こる事について、誰も気に止めなくなっているのはとても恐ろしい事です。
ボストンでは、マラソンのテロ爆撃の同日に起こった事件で、11人のアメリカ人が銃によって殺害されました。そして、メディアがマラソンの爆撃を大々的に報道していた頃、38人のアメリカ人が 銃の発砲事件で死亡しました。過去4カ月で3,531人のアメリカ人が銃によって殺されています―9・11に亡くなった人より圧倒的に多い数です。しかし、この日々の事件によって、銃の購入を少しでも制限する法案を可決する動機を、議会に与えることはありません。
それについて説明する事は非常に困難です。アメリカ人はおそらく、突発的に起こる、不可解な“外部” (ジハード主義者、テロリスト、悪徒など)のせいにする事が出来る暴力に関して、過度の恐怖を持ちますが、すべてのアメリカ人の周りに潜んでいる危険性について (銃、不健康な食生活、毎日職場 で14人が殺害されるなど)それは単に、日常のごく当たり前なことのように“自由のために支払わなければならない代償”として受け取られているように思えます。
原文記事:http://www.guardian.co.uk
日本語訳:スピリチュアル・ルネサンス編集室